体験記

「精神保健指定医」

2016年12月27日4:19 PM

入局5年目医局員
東京都立松沢病院 (昭和大学医学部精神医学講座)

このたび精神保健指定医資格を取得しました。厚生労働省において制度をめぐる議論があり、審査には提出後1年以上かかりました。

大学病院はいろいろな症例を担当できるようにするため異動が比較的多く、また、独善的な治療にならないようにチームでの診療体制です。このため、症例の重複などの過誤が起こる可能性が指摘されるようになり、最近では大学として症例管理を徹底するようになってきました。

現在の指定医の審査は8症例のレポート審査です。将来的には、指定医試験には面接試験の導入などが報道されています。指定医レポート作成に関しては、大学入試や医師国家試験と同様に独学でできる人もいます。しかし、自分のような凡人には、当大学医局のような場所で、手厚い指導体制が整っていることがありがたかったです。

指定医は、強制入院が比較的多い日本では一定の役割を担っており、これまでは後期研修修了の一つの指標でした。現在、出向している公立病院では、当直業務が細分化しているため、指定医資格の有無でそれほど大きな業務の差はありません。ただし、指定医に相談できる(相談しなければいけない)ことが減った分、責任も増し、やりやすさと怖さを感じています。

正常と異常の間に絶対的な線引きはできず、また、間違いを犯すことは万人にあると思います。そうした迷いや危うさの上になりたつ精神医学、指定医制度ですので、多彩なロールモデルがいる大学の医局で共に歩めるのは心強いと思います。