医局の生活・イベント

「人生の学び舎です」 入局4年目研修医(大学院生)

2016年11月29日12:00 PM

先日、2016年度のワークショップが行われました。「ワークショップ」とは何かというと、医局員が年に一度、一堂に会して医局の様々な問題点や知識の共有を行い、さらには新しい提案を出し合いながら具体的な業務体制の改善や解決策を築くために司会進行役(ファシリテーター)のもとグループワークをする会です。宿泊は任意なのですが、過去の会場としては強羅や館山、秩父などの観光地が選ばれるような、いわば社員旅行的な側面もあります。今年は東京から東海道新幹線で1時間の熱海での開催で、駅前の足湯を横目にマイクロバスで山を登っていくと、山あいに大海原や初島も見え、伊豆半島の景色に結構テンションが上がりました。

開会の挨拶の後、最近医局で問題として上がっていたことを8人程度のスモールグループに分かれて議論します。私は大学院生なので研究活動がテーマのグループでした。まずは改めて自己紹介しアイスブレーキングをし、配られたカードへテーマに対し思うこと、ひらめいたこと、わからないこと、何でもあり!を一つずつ書き出していきます。そして、似たアイディアをみんなで寄せ合い一括りに囲んでタイトルをつけ、できた島々を俯瞰して意見を可視化していきます。改めてそれらを眺めていくと、テーマ一つを取っても様々な水準の問題があることに気づきます。昭和大学精神医学講座は医局員が多く年次も多様なため、各々の引っかかりポイントも多様というべきでしょうか、問題の背景、現状、具体的なつまずきの例など、全体の構造を見えるようにすることで、問題ごとの関係性も整理しやすくなり、最終的には暫定的な解決策をグループごとに発表していきます。ワークショップでは医局員としての上下の立場にとらわれず多くの切り口から多彩な気付きが得られ、一つの結論をつくり、一方で一度に全ては解決できなくても、問題点もまたみんなで共有できました。

「スモールグループでの議論」

「スモールグループでの議論」

その後は会場を変え、非常に立派な宴会場で美味しい懐石料理をいただきながら若手の後期臨床研修の報告会がありました。これは入局2〜4年目の医師が、これまで発表したりまとめたりした研究・臨床活動報告をパワーポイントで発表するものです。テーマはアルコール依存症、認知症、統合失調症、気分障害、発達障害(自閉症スペクトラム障害・注意欠如多動性障害)、臨床薬理、m-ECT(修正型電気けいれん療法)、TMS(経頭蓋磁気刺激法)など多岐に渡り、私もこれまでやってきた、そして将来も長く続けていきたいジェンダー診療(性同一性障害・性別違和)についての考察と思いの丈をぶつけてきました。それぞれの発表を聞いてみると、各々が臨床経験と専門性を深めつつあることが分かり、一方で私たちは単独ではこれらの研究もなし得ないわけであり、それを指導し支えてくださる先輩方のいる幸せと、お互いに刺激しあえるよい同僚・後輩が多くいる幸せ、人数がいるからこそ各々がQOLとしても無理をしすぎずやっていける、『三本の矢』のような医局の良さ、力強さをしみじみ感じました。

ワークショップは長丁場でしたが、ロマンスグレーの指導医の先生が「見て損はなかった名画座の『フランシス・フォード・コッポラの映画5本立て』」という秀逸なたとえをされ、一同大きくうなずき各々帰路についたわけですが、私たち宿泊組はそのまま懇親会として3次会へ。そこではここで話せること、話せないこと…色々ありましたが、先生方の普段は見られない意外な一面や姿を知り、大いに躁的に盛り上がりました。次回のワークショップも非常に楽しみです。