卒後後期教育

対象

平成29年3月末までに前期卒後研修を終了し、これから精神保健指定医などの精神科領域のスペシャリストを志している方。
特に、研究分野や内科や外科などの身体医学領域および産業医学領域など別分野において現在ご活躍中で、新たに精神科領域について学びたいとお考えの方も、ぜひご相談ください。

臨床研修制度発足前に卒業された先生方も対象となりますので、ご相談ください。

研修の概要・特徴

昭和大学医学部精神医学講座での精神科研修の最大のメリットは、何と言っても首都圏内に4つの大学附属の精神科病院及び病棟があることです。
措置入院や医療保護入院を受け入れ可能な病棟を持ち、国家資格である精神保健指定医の取得には、とても有利な条件を備えています。
さらに精神科救急、児童思春期精神医学の研修も可能です。そして、精神医学の臨床活動だけに偏ることなく、基礎研究などの分野にも精通するバランスのとれた精神科医師の育成を目指しています。
特に、実践に強い精神科医師育成のために、本人の意思さえあれば、神経心理学、精神療法、臨床精神薬理学、精神生理学などのいろいろな研究会にも気を遣うことなく参加可能です。

研修目標と内容

精神科診察法を身につけ、精神症状や所見などを正確に把握できる

患者さんや、その家族との適切なコミュニケーションができるよう、精神医学的面接法を習得することを目指します。
病歴聴取を行ない、主要な精神疾患の症状を聞き出す技術を身につけます。
ICD-10やDSM-Ⅳなどの診断基準を用いた診断方法や、古典的な精神科診断を把握できるようにします。
特に、精神科救急の診察法は必須です。
ときに神経学的所見が取れないと器質的問題を見過ごすことがあるため、診療技法を身につけることを目指します。

精神科特殊検査法を習得し、結果を解釈できるようになる

精神科診断に必要な理学的・生理学的検査法、CT・MRI・SPECTなどの中枢神経画像診断、脳波、心理検査、神経内分泌検査、認知機能検査などが使用できるようにします。
また、精神症状を把握するために、評価尺度を用いた検査法を身につけることを目指します。

精神科治療法を決定し、実施できる

向精神薬の特徴を把握しまた決定し、薬物療法を行なえるようにします。
また精神分析精神療法や認知行動療法など精神療法について学び理解することを目指します。
家族心理療法を理解します。精神科リハビリテーションとして社会生活技能訓練(SST)を理解し施行できるようにします。
精神科救急治療法を身につける。リエゾン・コンサルテーション活動ができるようにします。
電気けいれん療法や磁気刺激療法が施行できることを目指します。

患者・家族と良好に対応し、問題を解決できる

患者及び家族と適切にコミュニケーションがとれるようにします。患者及び家族のニーズを把握するようにします。
服薬遵守やストレスケアなど日常生活の指導ができることを目指します。
心理教育が行え、分かりやすい言葉で病態や治療方針や予後の説明し同意を得ることができ、なおかつ、プライバシーの保護に配慮できるようにします。

精神科医療の社会的側面に対応できる

精神保健福祉法を中心とした保健医療法規や制度を理解します。
医療保険や公費負担医療、社会福祉制度、在宅医療や社会復帰、地域保健と健康増進、医の倫理と生命倫理、医療事故、麻薬取り扱いなどについて、理解していきます。

精神科チーム医療の実践として、様々な医療スタッフと強調・協力し、的確に情報を交換して問題に対処できる

他科や他施設へ紹介し、転送できるようにしていきます。
検査や治療やリハビリテーション、看護、介護、ソーシャルワーカーなど幅広いスタッフについてチーム医療を理解し参加していきます。
精神科訪問看護を含めた在宅医療チームを理解し参加できるように目指します。

研修する具体的な精神疾患

気分障害、統合失調症、不安障害、身体表現性障害、解離性障害、摂食障害、認知症疾患、器質性精神病、症状精神病、せん妄、アルコール関連障害、物質関連障害、人格障害、睡眠障害、発達障害、児童・思春期精神疾患など

研修施設

烏山病院、昭和大学附属東病院、横浜市北部病院、藤が丘病院、その他同窓会に加盟している関連病院や公立病院など関東近圏20ヶ所ある施設をローテートしながら精神科研修を行います。

研修施設詳細はこちら

指導体制

専門領域を持ったリーダーが、臨床活動をサポートする体制を取っています。
必ず上級医師が付き、入院や外来場面での対応や治療方法について相談しながら、精神医学知識や技術を身につけていきます。
具体的には、教授や助教授による回診、班長を中心とした班会議などが定期的に予定され実施されています。
症例検討会、抄読会も定期的に行われ、上級医の指導の下、準備を進めて精神科医師として技術向上を目指します。

指導医スタッフ

専詳しくはスタッフのページをご覧ください。 精神科の各専門領域のエキスパートが在籍しています。
研究や学会活動をはじめ、教育に携わっています。

フレッシュマン・クルズススケジュールおよび関連病院見学

精神科の多分野にわたり、クルズスを行なっています。内容は以下のとおりです。

クルズス

  内容
1 画像診断の基礎
2 EBM精神医学の基礎(文献検索・論文の読み方など)
3 予診のとり方/精神科面接技法の基本
4 基本的な精神科関連法規と書類(支援法から介護保険まで)
5 カルテの書き方(SOAPから危機管理まで)
6 基本的な精神科評価票(1)
7 基本的な精神科評価票(2)
8 リエゾン精神医学の基礎
9 脳波判読の基本
10 統合失調症の家族と家族療法
11 境界性人格生涯の対応の留意点(夜間当直、電話対応など)
12 精神科薬物療法の基礎(1)
13 精神科薬物療法の基礎(2)
14 磁気刺激と電気けいれん療法の基本的手段
15 接遇/電話のとり方・つなぎ方

関連機関病院見学とクルズス

番号 関連病院 講師
1 東病院 岡島 准教授
2 北部病院 稲本 准教授
3 藤ヶ丘病院 稲本 准教授
4 江東豊洲病院 尾鷲 講師

研究会・研究活動について

日常の臨床活動をしながら興味関心のある研究会へ参加いただけます。
神経心理研究会、精神療法研究会、認知療法研究会、脳波クルグスなどいろいろな研究会が低規定に開催されています。
教室研究会も定期的に開催され、こちらは昭和大学以外の先生に講義いただきます。
いずれの研究会も画像や脳波の見方、精神療法的アプローチ方法など精神科臨床活動に直接役に立つことがあり、とても有意義な研修機会です。
研究会に参加しながら学会発表でスキルアップするということも大事な経験となっています。

研究グループの詳細はこちら

また、研究してみたいテーマまたは分野があれば、上級医師に相談して研究活動していくことも可能です。
臨床研究以外に基礎研究など昭和大学で研究が可能であれば、できる限りサポート体制をとります。
昭和大学で研究していない場合でも、当医局から紹介という形式も取れます。

指定医取得について

これらの4つの施設での研修は、精神科医師として必要不可欠な精神保健指定医の取得にとても有利になります。
しっかりした指導医の下、豊富な症例に触れることができ、つまり必要な指定医症例を経験ができ、ほぼ最短で申請が可能となります。
外部の病院で症例を経験する必要がなく、大学内部の研修で十分取得可能です。
指定医レポートの指導体制もしっかりしているため、高い合格率を保っています。
国家資格である指定医になるための研修機関としては、申し分のない体制だと自負しております。

精神科専門医について

現在、各学会主体の専門医制度から、日本専門医機構による専門医制度への移行が検討されておりますが、当大学は既に指導機関施設として申請済みで、制度変更後も精神科専門医の資格が取得できる体制を取っています。

年収など経済的なことについて

研修しながら生活していくのに十分な年収は確保できるかと思います。ぜひ、ご相談ください。

女性医師の待遇について

今、特に精神科領域でも女性医師の必要性は高まっています。
そんな女性医師を出来る限りサポートができるように体制を取るようにしています。
実際に、結婚して家事、出産や育児を経験しつつ仕事を両立している諸先輩方も数多く在籍しております。
医師として一人前になる苦労はあるとは思いますが、精神科業務は他科の業務よりはおそらく負担は少ないでしょうし、当教室としては女性医師が何より働きやすい職場環境を提供できるように配慮していると思います。
もし、精神科領域の研修をお考えの女性の先生方がいらっしゃいましたら、一度ご相談ください。

大学院について

大学院生も同時に募集しています。
こちらは、昭和大学医学部精神医学大学院定員3名のほか、当大学医学部の基礎医学研究大学院生としても入学は可能です。
大学院入学者については、上級医が責任を持って指導にあたっておりますので、大学院卒業時には学位取得が出来ます。
ぜひ、ご相談ください。

留学希望の先生方へ

まずは、精神科医師として活動していくために必要な精神保健指定医の資格取得を目指し、研修を行っていきます。
資格取得後、留学したいという希望に対して、教室として相談に乗っていくことになると思います。
例外もあるとは思いますので、個々のケースで適宜対応することになると思います。
これまでも欧州や米国などに留学経験者が数多くおりますし、現在も海外の研究施設にて活躍中の医局員がいます。

同窓会について

昭和大学精神科同窓会とは、当教室に入局された方全員が、無条件で全員会員となることができます。
特徴は、昭和大学卒業者と他大学出身者の分け隔てがないというところでしょう。
現在の会員数は230名で、とてもしっかりとした組織です。
年一度の同窓会定例総会と懇親会が催されており、今年もつつがなく行われました。
同窓会のありがたみというのは、大学附属機関病院で働いているときもそうですが、むしろ離れてから感じるようになることが多いようです。
同窓会員が所属している精神病院やクリニックは、精神科臨床活動をしていてとても助かりますし、将来の就職先のひとつとしてもありがたい存在です。。

将来の展望

後期臨床研修の目安は、指定医取得のできる入局4~5年目くらいがひとつの目安となるかと思います。
ただしあくまでも目安であり、指定医取得したからと言って、精神科医師として十分というわけではありません。
内科領域などに見られるように、日々刻々と進化していく医療事情は精神科領域でも同じことが言えます。
よって、将来にわたって研修をしていく姿勢が大事になってくると思います。また、後輩指導も大事な役割だと考えられます。
実際の進路については、総合病院勤務、単科精神病院勤務、研究職、クリニック開業などさまざまな進路が考えられます。
国公立病院、研究機関への就職も可能ですし、進路に当たっては責任を持って当教室が出来る限りの相談に乗るという体制を取っておりますので、ご安心ください。
いずれにしても、将来にわたり精神科医師として研修をする必要性があり、研修施設として、我が昭和大学医学部精神医学講座は申し分のない教育機関です。